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相次ぐ中小企業「物価高倒産」の実態 原価上昇分を価格転嫁できない下請けの苦境

8月12日に物価動向に関するヒアリングを開催した岸田文雄首相は、追加の物価高対策を指示すると表明したが…(時事通信フォト)

8月12日に物価動向に関するヒアリングを開催した岸田文雄首相は、追加の物価高対策を指示すると表明したが…(時事通信フォト)

 加速する物価高による企業倒産が増えている。帝国データバンクの調べによると、「物価高倒産」は調査を開始した2018年1月から2022年7月までで累計558件。2022年上期(1~7月)は116件と、例年を上回るハイペースで8月にも年間最多件数を更新しようとしている。

 2022年上期の物価高倒産を業種別に見ていくと、燃料高の影響が大きい「運輸業」(33件)がトップで、木材・資材高の余波を受けた「総合工事」(16件)、小麦や油脂の世界的な価格上昇の影響が大きい「飲食料品製造」(11件)、「飲食料品卸売」(9件)と続く。そうした物価高倒産の約8割を負債5億円未満の中小企業が占める。この7月の倒産件数は単月で過去最多の31件に達し、前年比で8割増となった(帝国データバンク調べ)。

 帝国データバンク情報統括部情報取材課の佐古真昼氏はこう分析する。

「ロシアのウクライナ侵攻により、サプライチェーンの供給制約が起きて供給不安が高まり、ガソリンなどを中心に燃料費が上がって輸送費が上がりました。さらに円安によって輸入品が高騰し、仕入れ原価のコストアップが起きている。品目としては小麦など多岐にわたり、年内には2万品目を超えることが確実視されています。

 今年6月から、コロナ関連の『ゼロゼロ融資』(保証人なし・担保なし)の返済が始まっている企業が多数あるといわれ、返済局面に入ったところで物価高に襲われている。コロナ禍でダメージを負った状況に、物価高による影響は長期化する可能性があります」

 政府の融資などでコロナ禍をなんとか持ちこたえてきた企業が、物価高で息の根を止められているという状況である。

「8月に倒産した新宿区荒木町のベーカリー店『マミーブレッド』も小麦の高騰による物価高倒産でした。家族経営の小規模事業者でなんとか日常の資金繰りをやっているような会社は原材料高、燃料費高、電気代上昇などで利益がまったく出なくなってしまうのです。

 7月に倒産したチョコレート製造販売の『ホテルショコラ』(店舗の営業は継続)は、イギリスに総代理店があって日本法人として経営していましたが、コロナ禍で店舗を拡大するほど損失が悪化し、さらに円安で原材料の仕入れ値が上がり、より利益を生みにくくなった。典型的な物価高倒産の例です」(同前)

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