9月19日、世界から弔意を示されるエリザベス女王の“世紀の国葬”には、各国から国王、大統領、首相ら国家元首級のVIPが参列し、就任したばかりの英国のトラス首相には弔問外交の舞台となる。
その約1週間後に行なわれる安倍晋三・元首相の国葬(9月27日)で弔問外交を目論んでいた岸田文雄・首相にとっては大きな誤算だろう。
厚労大臣や東京都知事を歴任した舛添要一氏は2つの国葬の違いをこうツイートしている。
〈安倍元首相の国葬について反対論が強まっている。岸田首相は、国葬決定の理由を国会で説明したが、世論を転換させることができていない。英国家元首エリザベス女王の国葬が19日に行われる。規模も、海外からの弔問客も格段の差で、岸田国葬に無理があることが目立ってしまう〉(9月10日)
国民の多くも同感ではないか。
英国では、国王以外の人物を国葬にするには王室の同意と議会での厳しい予算審議・承認が必要で、歴代の首相経験者で国葬にされたのは、1965年のチャーチル首相だけである。
それに対して、岸田首相は閣議決定といういわば総理の一存で安倍氏の国葬を決定したが、その後の対応が国民の不信感を決定的にした。
国葬の費用はすべて税金でまかなわれる。
それを国会での議論もなしに決めたことに国民の批判が強まると、政府は国葬予算を最初は会場設営費の2億4940万円と少なく発表して批判をかわそうとした。