終の棲家の選択は悩ましい。戸建てか、マンションか。マンションならば、低層か、タワマンか──近年人気があるというタワマンだが、実は、思わぬ落とし穴がいくつも隠されているという。芸能界の不動産王と呼ばれる彼でさえ、見抜けなかったようで……。
「去年の5月に東京のマンションにお引っ越しになったんですけど、それはなぜお引っ越しになったの?」
10月6日に放送された『徹子の部屋』(テレビ朝日系)。ブラック基調のロングワンピースに身を包んだ黒柳徹子(89才)がいつもの調子で尋ねると、落語家の笑福亭鶴瓶(70才)は苦笑しながらこう明かした。
「もともとが高層マンションで36階、地震がくるとめっちゃ揺れるんですよ。それでエレベーターが止まったときがあったんですよ。これ、怖いからちょっと低層に行こうっていうことになった」
芸能関係者は、放送を見て驚いたという。
「実は鶴瓶さんは、首都圏や関西をはじめ、海外にも複数の物件を持つやり手の不動産王として知られているんです。売却時には利益を出すほどの目利き。そのマンションは年齢的にも終の棲家という考えもあり、吟味されたはずです。きっと住んでみないとわからない“誤算”があったのでしょう」(芸能関係者)
一般に「タワマン」とは、高さ60m以上、20階以上の超高層マンションを指す。少子高齢化で人口が減少するなかでも、タワマン市場は活況だ。
不動産経済研究所によると、国内で2022年以降に完成を予定する20階建て以上のマンションは307棟、2021年3月末の調査時より74棟増加した。都心部や湾岸エリアだけでなく、地方の中核都市でも再開発プロジェクトなどでタワマン計画が進んでいるという。
タワマン人気でマンション価格も高騰している。同研究所によると、今年上半期の首都圏の新築マンションの平均価格は6511万円で前年同期より97万円アップ。東京23区では、新築マンションの平均価格は8091万円に達した。
住宅評論家の櫻井幸雄さんは、「近年は高齢者の終の棲家としてもタワマンが人気です」と語る。
「タワマンは再開発エリアなど利便性のよい土地に建設されるため、たいてい駅から近く、駅直結の物件も少なくない。また、1階にコンビニやスーパーが入るケースもあり、とにかく便利なのです。
高齢者にとっては、眺望のよい高層階には、子供や孫が喜んで遊びに来てくれるというメリットもあるでしょう。こうした利便性の高さに加え、設備も最新なため、資産価値も高い」(櫻井さん)
時間のあるシニア世代には、カラオケルームやパーティールーム、フィットネスジムなど、豪華な設備もうれしいだろう。
一見、魅力的なタワマン。しかし、鶴瓶のように想定外の事態に直面することもある。高齢者が陥りがちな「終の棲家にタワマン」の落とし穴とは──。