企業概要
マツキヨココカラ&カンパニー(3088)は、ドラッグストアのマツモトキヨシグループ、ココカラファイングループを傘下に持つ持株会社。2021年10月の合併により、売上高約1兆円、総店舗数3000店超を誇る日本最大のドラッグストアとなりました(2022年3月時点)。
統合後、事業セグメントはグループ毎で報告されており、「マツモトキヨシグループ事業(22/3期売上構成比74%)」「ココカラファイングループ事業(25%)」「管理サポート事業(1%)」の3つで構成されています。
注目ポイント
商品別売上高構成比は、医薬品34%、化粧品34%%、雑貨22%、食品10%で、利益率の高い医薬品や化粧品が多くを占める構成となっています(22/3期)。
特に化粧品はマツキヨが得意とする分野。ドラッグストア業界では第5位ですが、化粧品分野に限ってはトップポジションを確立しています。ココカラファインも全体売上の3割を化粧品売上が構成しており、統合によって化粧品分野がさらに強化されました。
化粧品分野における同社の強みは、特にマツキヨのデータ活用にあります。マツキヨは専門知識を持つ美容部員を擁しています。美容部員によるカウンセリングはデータとして蓄積されており、これが商品企画・開発に活用されています。統合を記念して開発されたプライベートブランド(PB)商品「レシピオ(RECiPEO)」もその一つで、購買データだけでなく顧客属性毎の嗜好性や価値観といったデータを活用して作られました。
第2四半期は、統合シナジーやKPI管理に加え、顧客基盤統合の進展に伴うマーケティング効果の向上と販売促進、また2021年3月期コロナ禍で失われたインバウンド売上(推定1350億円)も戻ってくる見通しです。都市部で展開し、化粧品に強みを持つ同社にとって追い風となるでしょう。
下期以降については統合効果が一巡することで、足元で見られた売上総利益率の大幅上昇は見込まれませんが、KPI管理の徹底、工数管理の強化や電気料金の値上げに伴う節電対策など、すでに、コストを抑制し利益を改善する対策が取られており、これは評価すべきところかと思います。
PB商品も順調で、今期も大型PB商品「THE RETINOTIME WHITE(レチノタイムホワイト)」などの発売を計画しており、引き続き収益性の追求が期待できると思います。
【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。