老後資金の不安を解消すべく、資産運用を考えている人もいるかもしれないが、そこで活用したいのが、「個人型確定拠出年金」(iDeCo)だ。iDeCoは、自分で毎月一定額を掛け金として積み立てて運用し、将来、その元本や運用益などを受け取ることができる任意加入の私的年金だ。
以前までは「10年以上加入、60歳から受け取り」が原則だったが、今年5月からは加入対象が65歳未満まで引き上げられている。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が解説する。
「たとえば60歳から加入した場合でも、65歳まで掛け金を払えるようになりました。加入期間が短いと得られる便益は薄いだろうと思いがちですが、60歳以降でも加入するメリットは非常に大きい。60代になっても働き続けていくことを考えているならなおさらです」
その理由の一つがiDeCoには、いくつもの税制優遇措置があり、掛け金の全額が所得税と住民税の控除対象になることだという。長尾氏が続ける。
「所得税10%の範囲の収入を得ている人が、限度額の月2万3000円を掛け金として積み立てた場合、住民税と合わせて年間5万5200円が控除される。仮に60歳から加入した場合、65歳までの5年間で27万6000円の節税になります」
金融機関は「手数料」で選ぶ
メリットはこれだけに留まらない。通常、投資信託などの運用益は課税対象となるが、iDeCoの運用益には税金がかからない。老後資産を増やしていく一助となるはずだ。
「さらに積み立てたお金の受け取りの際は、年金形式で毎月受け取るなら公的年金等控除が、一時金で受け取るなら退職所得控除が受けられます」(長尾氏)