スーパーマーケットなどでは、独自のポイントやプリペイドカードを発行するところも少なくない。しかし、突如お店が閉店してしまうことにより、ポイントやチャージしたお金が失効するトラブルもある。そうしたポイントなどは取り戻すことができるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
物価高の影響でしょうか、近所のスーパーマーケットが閉店。困っているのは、そのスーパーだけで利用できるポイントカードで、まだ3000円以上も残っています。こういう場合、すでに閉店していますし、カードにチャージしているお金は取り戻しようがなく、やはり泣き寝入りするしかありませんか。
【回答】
事前にお金を払って使用するカードは、資金決済法の定める前払式支払い手段のひとつです。あなたのポイントカードは、特定のスーパーだけで利用できるカードですから、スーパー自身が発行者になる自家型といわれるものです。
使う前にチャージしたお金は、カード発行者であるスーパーに預けたことになります。こうした利用者の権利を保護するため、資金決済法では、カード等の発行者に対し、発行したカードの未使用残高が1000万円を超えると、未使用額の半額以上の金額を「発行保証金」として供託所に供託する義務を課しています。これはカードの発行者の倒産に備え、カード利用者を保護するもの。また、発行者と銀行や保険会社との間で保全契約が締結されていれば、緊急の場合、代わりに銀行などが供託することも可能となります。
資金決済法は、毎年3月と9月の各末日を基準日として未使用残高を届け出させ、供託金額を調整させます。この発行者がカード等の発行業務をやめるときは、内閣総理大臣に届け出なければならず、保有者に対しては官報や新聞、または電子公告で情報提供し、残額を払い戻す義務があります。