国民は「大増税」の不安の中で新年を迎えた。岸田文雄・首相が2022年末に突然、増額する防衛費の財源確保という理由で「所得税」「たばこ税」「法人税」の増税を打ち出し、自民党内から一時反対論が噴き出したものの、「増税の実施時期」を明記しないことで批判はあれよという間に収まった。
増税がなし崩し的に決定され、具体的な実施時期は4月の統一地方選を乗り切ってから決めることになった。揉めたように見せて“ガス抜き”する国民騙しのサル芝居だ。
防衛増税だけではない。「これから大増税時代がやってきます」と警告するのは経済ジャーナリストの荻原博子氏だ。
「12月に発表された与党税制大綱では防衛財源の所得税、たばこ税、法人税の増税に加えて、相続税・贈与税への課税強化などが盛り込まれた。この改正では、親が子供の生活の足しになればと生前贈与しても、親が亡くなった後、子供にその分の相続税がまとめて請求されるケースが増える。他に、退職金への増税の議論も続いています」
さらに大きいのが今年10月からの消費税のインボイス(適格請求書)制度の導入だという。
「年間売上高1000万円以下の非課税事業者は仕事を干され、廃業を迫られるケースが大量に出てくることが予想されるし、廃業を避けるには消費税課税事業者になることを選ぶしかなくなる。このインボイス導入の本当の狙いは消費税率を引き上げやすくすることだと思われます。何もかも増税の方向のうえに、社会保険料の引き上げも続いている。こうなると自分の身は自分で守るしかありません」(荻原氏)
〈上に政策あれば、下に対策あり〉という諺がある。国が増税を強いるなら、国民はどうやれば高い税金を払わなくて済むかに知恵を絞ればいい。
税制の“アメ”の部分をフルに活用するのだ。政府は今回の税制改正で、「増税のムチ」の一方で、各種の税制優遇措置の拡充という“アメ”を盛り込んでいる。