親が亡くなった時に子供など相続人が、その年の1月1日から親が亡くなった日までの収入について行なう確定申告を「準確定申告」と呼ぶ。本来、本人が行なうべきだった確定申告を相続人が代わりにやるわけだ。
通常の確定申告は2月16日~3月15日という期間が設定されるが、準確定申告は亡くなってから4か月以内という期限が設けられている。税理士法人レディングの木下勇人氏が言う。
「基本的には亡くなった人が事業をやっていたり、不動産の賃貸収入があったりして、前年やその前の年も確定申告していた場合、準確定申告が必要になると考えられます。故人が前年に確定申告した際の控えを参考にしながら進めていくことが多い。事業で経費を上回る収入があったのなら準確定申告をして納税しないと税務署からの指摘があり、ペナルティが課せられる場合もあります。
一方で、亡くなった年は病院代などがかさむことが多いため、医療費控除で還付金が受け取れるケースもあります。還付されたお金は、相続人同士での財産分与の対象となります」
亡くなって4か月以内なので慌ただしいが、どうするのがプラスか考えなくてはいけないポイントもある。
「たとえば医療費控除については亡くなった人(親など)の準確定申告に入れるのか、相続人(子供など)の確定申告で『生計を一にする親族』の医療費として申請するかは検討したほうがいい。入院代や治療費が多くかかったのであれば、所得の多い人が有利になる。現役世代の相続人の医療費控除としたほうが還付が多くなるケースがよくあります」(木下氏)
※週刊ポスト2023年2月10・17日号