生活が厳しくても、各種税金、年金保険料、公共料金などの支払いや、ローンの返済については「待った」がきかないと考える人も多いだろう。だが、どうしても払えない時、一定の条件を満たせば支払い猶予や減免措置を受けられることがある。
たとえば住宅ローンも金融機関に申請・手続きすることにより、当面の返済金額を減らすことが可能だ。住宅ジャーナリストの山下和之氏が解説する。
「コロナ禍で住宅ローン返済に窮する人が続出したことを受け、金融庁は各金融機関に対し、利用者から申し出があれば返済条件などの変更に柔軟に対応するよう求めています。これにより、2020年から現在までに10万人を超える利用者が返済条件変更を申し込み、その9割以上が当面の返済額を少なくするなどの条件変更を実現しています」
その1人であるAさん(30代男性)が明かす。
「2020年1月、フラット35の住宅ローンで4000万円を借り入れました。条件は35年元利均等払い・ボーナス返済なしで、1.27%の全期間固定金利。月々約12万円の返済でしたが、コロナ禍の収入減で返済が苦しくなったので金融機関に申し入れたところ、返済期間の15年延長が認められました。毎月の返済額は約9万円に減っています」
ただし、これはあくまでも返済猶予。Aさんのケースでは期間延長分の金利払いで返済総額が約400万円増えてしまう。
「返済猶予が適用されれば、その分、完済までの総額は多くなってしまいます。収入が回復して生活が安定した段階で、返済期間を戻すなどの対応が必要です」(山下氏)
その他、各種料金にも免除や猶予の規定が設けられている。世帯ごと・住居ごとに契約を求められるNHK受信料は、世帯の全員が住民税非課税で、構成員の誰かが障害者手帳を持つ場合などは全額免除になると「放送受信料免除基準」に定められている。免除を受けるには申請が必要なので、対象の場合は速やかに手続きを行ないたい。