メタンを発生させない植物由来の代替肉など、「食糧危機不安の解消」や「環境問題の解決」「動物福祉」などを目的とし、最新テクノロジーを駆使した食品が開発されている。
味も食感も牛肉そっくり。肉の代わりに大豆などを使った「人工肉バーガー」も開発され、すでにアメリカやカナダのマクドナルド、バーガーキングでテスト販売された。
牛を肥育して出荷するまでには大量の穀物肥料と水を消費するうえ、牛のゲップに含まれるメタンガスは地球温暖化を促す。その点、大豆由来の「肉」なら環境への負荷も低く、コストも安上がりでSDGsの観点からもいい、と企業側は言う。
「動物を殺さなくてすむ」という理由で人工肉(大豆ミート)を歓迎する人も多く、牛肉だけでなく豚肉や鶏肉、チーズも味や食感が再現されている。食品問題評論家の垣田達哉さんはこう話す。
「しかし、安価な大豆ミートにはGM(遺伝子組み換え)大豆を使用している可能性が高いです。この場合、GM食品のリスクがそのまま人工肉にもあてはまります」
GM食品に対する不安について、米ボストン在住の内科医・大西睦子さんはこう話す。
「作物に動物や微生物などのほかの遺伝子を入れるのが、遺伝子組み換え飼育品です。この『種の壁』を越えることに危険性を感じる人が多い」
肉よりも大豆の方がヘルシーなイメージもあるが、必ずしもそうとは言い切れない。垣田さんは言う。
「大豆ミートは見た目や食感を肉に近づけるために、いろいろな細工が施されています。赤い血が滴る肉感を再現しているのが、『ヘム』といわれるもの。大豆などマメ科植物の根にあるものですが、自然からはわずかしか取れないため、遺伝子組み換え酵母から大豆レグヘモグロビンを抽出し、大量生産しています。このヘムに関しても、安全性を立証するだけのデータはありません」