次に、定年が近い場合は、定年退職の確率が高いので、定年時に支給が予定される退職金額を基準に、離婚時点で支給する額を計算する考えもあります。この場合、退職金を先取りするので、定年までの間の利息が複利で発生すると考えて控除されます。具体的には退職金を全勤務期間で割って、同居期間を掛けて得られる金額に中間利息(年3%)を複利計算で控除するためのライプニッツ係数(将来もらう賠償金を現在の価値の額に換算する方法)を掛けて現在額を計算し、その半額を離婚時点で分与されることになります。
このほか、専業主婦は国民年金法の第3号被保険者ですから、ご主人の厚生年金について、いわゆる3号分割により将来の年金のうち、厚生年金部分の半額を受給することができます。その手続きは標準報酬改定請求書を年金事務所に提出することで可能です。
財産分与にせよ、年金分割にせよ、離婚後2年を経過すると請求できなくなるのでご注意ください。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2023年3月16日号