賃貸マンションでは上の部屋からの騒音が原因で住民同士のトラブルになることも少なくない。騒音が原因で健康被害にまで発展した場合、どんな解決方法があるのだろうか。賃貸物件のトラブル解決に定評のある司法書士・太田垣章子さんが、実際の相談に回答する形で、解説してくれた。
【相談】
閑静な住宅街にある賃貸マンションに、新築時から入居して18年目の今年、引っ越しを決意しました。とても住み心地がよくて、このまま終の棲家にしてしまおうと思っていたのに……。出ていかざるを得ない状況に追い込まれたのは、3年前に上階に住んでいた夫婦に子供が生まれてから。
最初は夜泣きの声がうるさいくらいで、「いつか向こうが引っ越す」と目をつぶっていたのですが、そのうちにパタパタと走り回るようになりました。それも、夕方の時間帯だけだったので、気にしないようにしていました。
ところが、私が黙っていたから、「騒いでも大丈夫」と思ったのでしょうか。子供が成長するとともに、今度はお風呂で叫ぶ声や椅子から飛び降りる音が響くように。子供向け番組の音などもうるさくて、ついに注意しに行くことにしました。
相手の夫妻も、最初は謝っていたのですが、たびたび苦情を伝えるうちに、母親が「アンタが静かにしないから、オバサンに怒られたじゃないの! 謝りなさい!!」と、当てつけがましく子供を怒鳴るようになりました。
それからは、これまで気づかなかった音も気になるようになり、深夜のシャワー音、ドアを激しくバタンと閉める音にも耐えられなくなりました。そのうち、夜眠れなくなり、健康被害まで……。もとをただせば、上の階の人が悪いのだから、引っ越しの諸費用を出してほしいです。その場合はどう請求すればいいのでしょうか。(60才女性・パート)