「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」といった財務諸表の知識があれば、企業の業績や健全性を読み解くことができる。では、財務諸表を読んでどのように企業分析につなげていけばよいか。新刊『1社15分で本質をつかむ プロの企業分析』が話題の、つばめ投資顧問代表で投資系YouTuberの栫井駿介氏が、キーエンスとオムロンを例に挙げて解説する。
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損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書は、それぞれが関連し合っています。
商品を売ろうと思ったら、まずそれを仕入れるところから始めなければなりません。メーカーだったら、商品をつくる前に工場を建設しなければなりません。工場を建設するためには、お金を調達しなければなりません。このように、最終的には数字の羅列として出てくるものでも、その裏には必ず「ストーリー」があります。
例えば、同じ計測機器のキーエンスとオムロンでは、2022年3月期の売上高営業利益率がそれぞれ、キーエンス55%とオムロン11%です(損益計算書)。どちらもFA(工場自動化)関連のセンサや制御機器を販売しているにもかかわらず、なぜこれだけの違いが出るのでしょうか?
貸借対照表を比較するとわかること
その答えが、貸借対照表を見ると分かります。オムロンでは、貸借対照表の借方(左側)に「有形固定資産」が一定割合を占めるのに対し、キーエンスはそれがほとんどありません。同様に「棚卸資産」も比較的少ないことが分かります。