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「指輪とかないの?と言われて…」 高齢者を標的にする「押し買い」トラブル続発、買い取り業者を家に招く際の注意点は

不用品だけを売るつもりだったのに、まさか大事な貴金属を安く買い叩かれるなんて…(イメージ)

不用品だけを売るつもりだったのに、まさか大事な貴金属を安く買い叩かれるなんて…(イメージ)

 不用品ではなく、貴金属を買い取られてしまった──。買い取り業者による、押し売りならぬ「押し買い」トラブルが年々増えている。国民生活センターによると、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられた「訪問購入」の相談件数は、2019年度は5220件、2020年度は6018件、2021年度は6921件と増加傾向にあり、ここ3年で約32%増加。ターゲットにされやすいのは高齢者のようだ。悪質業者の「押し買い」の実態を紹介するとともに、買い取り業者利用時の注意点を解説する。

「これだけじゃ持っていけない」

 70代の主婦・Aさんのもとに、見知らぬ番号から電話がかかってきた。受話器を取ると、リサイクル業者を名乗る男性からで、「不用なものはないですか。例えば、着物やバッグ、食器、古着なんかでも一点から大丈夫ですよ」という明るい声だった。

 Aさんは、ちょうど不用品の処分を考えていたが、フリマアプリの出品やリサイクルショップへの持ち込みはハードルが高いと感じていたので、「ありがたい話」と飛びついた。

「終活のために、家のものを整理し始めようと思っていたところでした。多少でもお金になった方がいいですから、とりあえず、食器と古着、健康器具、それから来てもらった時に売れそうなものを相談して売るつもりでした」

 電話から聞こえた声の印象と、実際にやってきた業者の対応は違った。業者の男性は、「これだけじゃ持っていけない。捨てるとお金がかかるんだから、もっと価値のあるものじゃないと。セットなら持っていってあげますよ」と別のものの買い取りを迫ったという。

 世間話をしながらも、「で、指輪とかないんですか?」と引き下がらない男性。このままでは帰ってくれないと思ったAさんは、しぶしぶ貴金属を見せた。

「貴金属類を売るつもりはなかったんですけど、確かに、それまでに見せた衣類や食器などを自力で処分するとなるとお金も手間もかかる。一度で全部持っていってくれるなら、手放してもいい貴金属類が何かないかな、という気持ちになっていったんです」

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