近年、日本社会でも女性の権利向上に関するフェミニズムの議論やLGBTQをめぐる啓発、議論が活発になっている。そんななかで見逃されがちなのが、「男性同士のセクシャルハラスメント」の問題だ。セクシュアルハラスメント(セクハラ)は異性間で生じる問題と見なされることが多いが、実際は同性間でも多発している。
たとえば、“男同士のノリ”だと思われがちな次のような言動は、セクハラになりかねない。
・「大学生にもなって/社会人にもなって、まだ童貞なの?」
・「早く彼女を作った方がいい/結婚した方がいい」
・「子作りはしているのか?」
・「お前の喋り方はオカマっぽい」
・女性を性的にイジるようなコミュニケーションをする
・新社会人を無理やり風俗店に連れて行く
……など。
特に男性同士のハラスメントは、地位や職位の違いを利用したパワーハラスメント(パワハラ)と結びついて生じやすいという。関西の大学で人権問題に関するレクチャーを行なっている女性教員・Aさん(50代)は、こう話す。
「上記のような言動は、すべてハラスメントに該当します。たとえば『彼女を作れ』という発言は、相手のセクシュアリティを一方的に異性愛者だと決めつけていることになります。こうした男性同士の性的なハラスメントが横行する背景には、『ホモソーシャル』と呼ばれる男同士の絆が関係していると言われます。
その特徴は2つあり、『ホモフォビア(同性愛嫌悪)』と『ミソジニー(女性嫌悪)』です。これらは異性愛規範と強く結びついたもので、男性間で『お前はオカマみたいだな』と非難したり、『女は男たちが性的な話題で盛り上がる際のネタに過ぎない』といった扱いをしたりする言動の背景にあるものです」(Aさん)