全般的に「丁寧」「用意周到」「清潔好き」
しかし、やたらと日本での評価が高いものを食べる気がしてならないです。その代表がトムヤムクン。酸っぱくて辛いエビとレモングラス入りスープですが、「世界三大スープ」のひとつであるとされることが注文に影響を与えているでしょう。もうタイ料理の店に行けば条件反射で「トムヤムクン!」と注文しているようなところもあります。タイに初めて来た日本人と一緒にご飯を食べに行くと、大抵トムヤムクンを頼む。
実際に食べてみるとおいしく、私の好みでもあるのですが、個人的にはトムヤムプラームック(イカ)と、トムヤムカイ(鶏)の方が安くてウマいと思います。あと、日本人が頼みがちなのは「世界の美食トップ50」の1位になったことがあるマッサマンカレー。これも「もっとウマいカレーあるけどな……」と思ってしまうのです。
もうひとつ飲食店で日本人特有の行動が、備え付けのペーパータオルでまずテーブルを拭くところです。この行動には清潔を好む日本人らしさがよく表れています。全般的に「丁寧」かつ「用意周到」「評判の良い食・場所を経験したい」「清潔好き」といったところが海外における日本人観光客ならではの特徴と言えるのではないでしょうか。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『捨て去る技術 40代からのセミリタイア』(インターナショナル新書)。