近年、若者のあいだに急速に広がっている大麻(マリファナ)。著名人のあいだでも逮捕者が相次いでいる。今年3月には総合格闘家KING(キング)レイナが、2月には若者に人気を誇るラッパーの¥ellow Bucks(イエロー・バックス)が2度目の大麻による逮捕となり、審査員として出演が予定されていたオーディション番組への出演が見送られた。
厚生労働省の発表によると、2021年の大麻事犯の検挙人員は、前年比約10ポイント増となる5783人と8年連続で増加し、過去最多を更新している。特に、少年及び20歳代の大麻事犯の検挙人員の増加が目立ち、2021年には3934人と全体の68.0%を占めている。
こうした状況から、多くの大学ではホームページに薬物問題に関する啓発ページが設けられている。たとえば東京大学は「学生生活上の注意喚起」として薬物についても取り上げ、〈薬物の乱用や所持については、法的にも厳しく規制されており、関係官庁等からも学生向け啓発活動が行われるとともに、本学でも様々な機会に注意喚起等を行っているところです。〉と記載。
このほか早稲田大学は、〈近年、大学生の薬物乱用が拡がっています。「薬物」には、大麻、覚せい剤、マジックマッシュルーム、シンナーのほか、「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などと称して店舗やインターネット上で販売されている「危険ドラッグ」などが含まれます。こうした薬物を所持・使用、購入、譲渡などすることは法律で厳しく規制されており、違反した場合には薬物事犯として重い刑罰を受けるばかりか、大学としても退学などの厳しい処分を課すことになります。〉と、警鐘を鳴らしている。
ヒップホップファンには“耐性”も?
若い世代のあいだで大麻が広がっている背景に、音楽シーンにおけるヒップホップの隆盛やラッパー人気も影響しているのではないか、と指摘する声もある。実際、前述の¥ellow Bucksだけでなく、舐達麻のメンバーや漢a.k.a.GAMI、鎮座DOPENESSなど、大麻所持で逮捕された日本の人気ラッパーは少なくない。
では、ヒップホップが好きだという現役大学生たちは、大麻についてどんな印象を持っているのか。私立大学に通う男性・Aさん(21歳)は、「自分はやろうと思わない」と前置きしたうえで、次のように話す。
「もちろん日本では犯罪なので、“所持”したら逮捕されるのは当たり前。ただヒップホップというジャンルは大麻と深い関わりがあって、ひとつのカルチャーだと考えている人もいる。たとえばYB(※前出・¥ellow Bucks)が逮捕されたとき、ヘッズ(※ラッパーのファン)たちのなかには、『やるのはいいけど捕まるのはダサい』『大麻のことを歌っているんだから当たり前』というスタンスの人もいた。
Twitterなどでは、『捕まってこそ深みがでる』『捕まった経験も含めて次の楽曲が楽しみ!』という意見を堂々と書いている人もいました。そもそもYB以前にも日本の人気ラッパーはしょっちゅう大麻で逮捕されているので、ヒップホップのファンにとっては『またか』という感じで、特に驚きはない。“耐性”ができてしまっているんだと思います」(Aさん)