ハードルを下げる「みんなやっている」の言葉
別の私立大学に通っている女性・Bさん(20歳)は、「高校を卒業して大学生になることで、確実に大麻へのハードルが下がっているように感じる」と話す。
「やっぱり大きいのは、大学生になって人脈が増えて、『周りの誰かはやったことがある』という話を耳にすることでしょう。コロナ明けで街に遊びにいく機会も増えているので、知人から『全然たいしたことない』『クラブではみんなやっている』という話が広がるというのはあると思います。自分ひとりでやるのには抵抗があるけど、知人や友人が『大丈夫』といえば、それが安心材料になってしまう。
あと知人の話では、大学の先輩が『自分は芸能人じゃないから絶対捕まらない。警察はそんなに暇じゃない』と話していたと言います。“自分が捕まるわけがない”という思い込みも大きいのでは」(Bさん)
このように違法薬物、とくに大麻に対してハードルが下がるなか、多くの大学でホームページに薬物問題に関する啓発ページを設けるなどしているが、そうした対策にどこまで効果があるのか。Bさんはこう続ける。
「大学で薬物の危険性について啓発するだけでは、ほとんど意味がないと思います。損得勘定で動く人は多いので、たとえば『確実に退学になります』とか、『実際に薬物で退学になった学生がいます』『就職活動にも影響があり、このような不利益を被る』とか、そういう分かりやすい実例を伝えた方が有効だと思う」(同前)
厚生労働省の発表によると、2021年の大麻事犯の検挙人員は、前年比約10ポイント増となる5783 人と8年連続で増加し、過去最多を更新している。特に、少年及び20歳代の大麻事犯の検挙人員の増加が目立ち、2021年には3934人と全体の68.0%を占めている。
大学に入るとさまざまな誘惑が出てくるが、薬物についてもそのひとつ。新生活への期待が膨らむなかで落とし穴にハマってしまわないよう、注意してほしい。(了)