今年に入ってチェーン店で迷惑行為を撮影してSNSで動画を公開、炎上する事例が頻発している。店側はこうした行為に対し、刑事・民事の両面から厳正に対処するなどしているが、再発防止策のために余計な手間やコストがかかるのは間違いない。そしてそのしわ寄せが来るのは、大多数の普通の客だ。こうしたトレンドが続いた場合、その延長線上にはどのような未来が待っているのか。今後もチェーン店で起こり得る迷惑行為について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。
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今年1月、スシローで高校生が醤油さしと湯呑をなめる動画を公開した「ペロペロ騒動」は、回転寿司チェーンにさまざまな対応を迫ることになりました。まず、スシローの当該店ですべての醤油さしを差し替え、湯呑を洗浄するなどの対応。また、くら寿司は回転レーンの皿の不自然な動きを監視するAIカメラを導入しましたが、これがスシローやはま寿司等、他のチェーン店にも影響するかもしれません。店にとっては余計な手間とコストがかかります。わずかな割合の非常識な客のために大迷惑を受けるわけです。
回転寿司だけではありません。たとえば、九州北部を中心としたうどんチェーン・資さんうどんの「天かす騒動」。今年2月に、若者が卓上の天かす(揚げ玉)を備え付けの匙とともに口に入れる動画を公開したのですが、こうした事例が明るみになると、やはりさまざまな対応を迫られます。資さんうどんの店舗では、卓上に「天かす」「とろろ昆布」「つぼ漬け」があるのですが、これらを使うのが不安な人は、従業員に申し出れば、天かすととろろ昆布は個包装のものを、つぼ漬けは毎日洗浄している小皿に盛り付けて持ってきてもらえるようになったのです。
初期報道では詳細が書かれておらず、「卓上からこの3点セットがなくなる」と捉えた人からは、「自由に取れるのが良かったのに~」的な感想もありました。しかし、あくまでも「不安な人向け対応を追加」したということで、時々利用する私もホッとしたのです。
ほかにも、吉野家で紅生姜を直箸で食べる動画が拡散され、こちらは4月4日、器物損壊と威力業務妨害の疑いで男2人が逮捕されています。こうした迷惑行為が話題になる度に、各チェーンでその対応に迫られるわけですが、いっこうになくならないのはどういうことでしょうか。
定食チェーンが「おかわり有料化」に舵を切ってもおかしくない
ここからは、各チェーンでいつ起こってもおかしくない「想定される迷惑行為」と、その後に「想定される対応」について推測してみます。
●カレーチェーン
【想定される迷惑行為】
味調整用の卓上スパイスを「一缶全部」入れてみた挙げ句、あまりの辛さに鼻水垂らしまくり、口の中の食べ物をまき散らしまくる動画を公開。結局9割残す。
【想定される対応】
卓上スパイスを廃止。