投資

世界の富裕層が実践している「グローバル投資」は日本の個人投資家こそ取り組む価値がある

グローバル投資が必要な理由

 ここで主眼にするのは、日本株だけでもなければ、米国株だけでもない株式投資。目線を世界に向けた“グローバル株”への投資です。米国以外の欧州、インド、南米などに拠点を置く優良なグローバル企業にも投資するのです。じつは難しいことはありません。グローバル株への投資は、個人投資家でも、またネット証券口座でも、十分に対応可能な投資法です。

 もちろん、現在の投資環境では、やはり米国株を完全に無視することはできません。なにせ米国は、上場企業の時価総額の合算で“圧倒的世界一の株式大国”なのですから。そこで、米国株にそのほかのグローバル株を加えて、世界の株式に幅広く投資する新たなスタイルを「グローバル投資」と呼ぶことにしましょう。

 インフレ傾向は、日本でも顕著になっています。日本は、1991年のバブル経済崩壊以降の「失われた30年」の間、物価が下がり続ける“デフレスパイラル”に陥りました。

 よくいえば、「生産性が向上した結果、モノの値段が下がり続けた」ということもできます。日本のデフレの評価はさておき、事実として商品やサービスの値段が下がり、企業の売上高は伸びず、賃金も上がらず、消費マインドは冷え込む……という悪循環から30年もの間、抜け出せなかったのです。

 そんな日本も、いまは“物価高”に直面しています。生活に欠かせない食料もエネルギーも輸入に頼らざるを得ないのに、「価格高騰」と「円安」のダブルパンチによって輸入コストが上がっているのです。

 デフレからインフレへの転換は、日本銀行の黒田東彦総裁の下で行われてきた物価2%上昇を目指すインフレーション・ターゲット(インフレ目標)という金融政策にとって悲願だったはず。しかし、このところは景気後退とインフレの同時進行(スタグフレーション)の色が強まりました。要するに、企業の業績は上がらず、需要が増えず、賃金も上がらない“悪いインフレ”の側面が色濃く出てしまったのです。

 なにをいいたいのかというと、「インフレ」と「円安」という二重苦に悩まされている日本の個人投資家こそ、グローバル投資が欠かせないということです。世界の人口動態の変化や気候変動への対応といった視点をもった長期的投資を実践することで、目先の「インフレ」や「円安」といった特定の国に固有する事象になるべく左右されないようにするためにこそ、グローバル投資が欠かせないのです。

 こうした状況をいち早く捉えて、グローバル投資を加速させている人たちがいます。それは、“伸び盛りの富裕層”です。

 富裕層には、いろいろな定義がありますが、本書では100万ドル(1ドル135円換算で1億3500万円)以上の純金融資産を持つ人と定義しましょう。

 クレディ・スイスの「グローバル・ウェルス・レポート2021」によると、2020年に100万ドル超の純金融資産を持つ人の数は、米国が世界一で2200万人。全世界の39.1%を占めています。

 2位は中国で世界の9.4%、3位は日本で6.6%となっています。日本は世界で3番目にお金持ちが多い国ということです。野村総合研究所の資料によると、純金融資産1億円以上の富裕層は、およそ133万世帯です。

 なかでも、私が日頃お付き合いしている身近な日本の“伸び盛りの富裕層”は、20?40代で事業を興すなどして成功し、資産を積み上げ、40代以降でのFIRE(Financial Independence, Retire Early =経済的な安定を確立して早期リタイアする生き方)を視野に入れているような人たちです。

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