また、日本の賃金水準は、バブル崩壊後の約30年間、ほとんど変わっていません。OECD(経済協力開発機構)によると、2020年の日本の平均賃金は1990年と比べてたった4%しか伸びていないのです。この間、韓国、英国、フランス、スウェーデン、アイルランドなどに追い越され、34か国中24位まで後退しました。
世界競争力ランキングでも、かつては世界1位の座にいたこともありましたが、いまでは63か国・地域のうち、2020年と同じく過去最低の34位にまで低下しており、アジアでは10番目となっています(スイスの有力ビジネススクールであるIMD[国際経営開発研究所]発表のデータより)。
今後、急速に進展する少子高齢化による人口減少により、国力の衰退にはいっそう拍車がかかる恐れもあります。
2050年前後には、日本の人口は1億人を割り込むとされています。2020年には7400万人を超えていた15~64歳の生産年齢人口は、2040年には6000万人を割り込むという予測もあります。働き手が減れば、GDPも右肩下がりになりますから、日本にバラ色の未来を描くのは、相当困難でしょう。
2022年に放映されたNHKのSFテレビドラマ『17才の帝国』(吉田玲子作)では、世界から「サンセット・ジャパン」と斜陽国の烙印を押されて、G7からも除外される日本の近未来の姿が描かれており、大きな話題となりました。それが、現実のものになる日は、案外近いのかもしれません。
日本企業と米国企業を比較
ここで説明している投資とは、短期売買(トレード)ではなく、長い目で見た中長期保有を前提にしています。日本の国力の低下は、それを前提とした日本株の世界的な評価にも如実に表れています。
グローバル株の取引を長年続けてきた私も日本人なので、ホームカントリー・バイアスは多少なりともあると自覚しています。グローバル化する世界経済で存在感を高め、国際的に評価されて株価を上げる日本株を発掘したいのですが、長期的な資産形成の観点で自信を持っておすすめできる日本株を挙げるのは難しいというのが正直なところです。いま長期的な視点から日本株を買うべき指数に基づく理由があれば、教えてほしいくらいです。
2020年には、GAFAM5社の時価総額だけで、東証一部(当時)の全2170社の時価総額を上回りました。そこで、全体的な株価の傾向を踏まえるため、米国のS&P500・ナスダック総合指数と、日本の日経平均株価を比較してみましょう。
日経平均株価は、2012年のアベノミクス以降、上昇に転じていますが、いまだにバブル期の最高値(3万8957円)を一度も更新していません。
それに対して米国株は、2009年のリーマンショックの落ち込みをカバーして、最高値を更新しています。
次の3つのグラフを見てください。