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投資で欠かせない「天と地」の視点とは? 元ファンドマネジャーが実践する分析手法を解説

ミクロの注目ポイント

 次はミクロ的な要因についての解説です。欧州を本拠とするグローバル株では、「純利益」とそこから得られる「キャッシュフロー」の平均成長率に目を向けます。

 市場全体の平均、あるいは同じセクターの平均と比べて、「純利益」とキャッシュフローの直近5年平均成長率が高くなっていれば、株価も成長すると考えられ、投資先の候補として挙がってくるでしょう。

EPSの考え方

EPSの考え方

 EPS(1株あたり純利益)を重視すると、企業による自社株買いが多用され、長期目線での成長株投資がなおざりになる、といった懸念もあり、長期目線で経営する企業の多い欧州企業では「純利益」に着目するケースが多くなります。

 ただし、「何を重視して見るのか」という視点は、企業のステージによっても変わってきます。ある程度成熟した企業においては、「利益水準」や「利益率」を重視しますが、まだ若い新興企業については、「売上高の成長」を重視する傾向が強まります。新興国の企業の場合も同様に、売上高の成長を重視しますが、新興国は先進諸国に比べて政治と企業のつながりが強く、さらに政局の行方は不安定なことが多いため、売上高の質や安定度(サステナビリティ)も重視されます。

 米国株を主戦場とする投資家の多くは、まず各銘柄のPER(株価収益率)を見る傾向が強いようです。S&P500株価指数のPERは、現在のところ平均22倍程度。伸び盛りのハイテク企業や、テンバガー(10倍株)を目指すような企業のPERはもっと高かったり、赤字決算のため“数値ナシ”となったりする銘柄も多いのですが、いずれにしてもPERは1つの目安になります。PERが22倍よりも高ければ、収益に対して株価が割高であり、22倍よりも低ければ、収益に対して株価が割安と基本的には評価できるでしょう。

 さらに、直近5年のPERの推移をチェックして、上昇基調なのか、下降基調なのかを把握しておきたいところです。ノーマライズドPER(平常時のPER)より割安に推移していると判断できる場合は、購入の検討を一歩進めてもいいでしょう。

 米国株で次に見ておきたいのは、EPS(1株あたり純利益)です。ESPは、当期純利益を発行済み株式総数で割ったもの。投資家が得られる1株あたりの配当金の目安になる利益を示しています。EPSが高ければ、投資家の人気が集まり、短期的には株価は上昇基調になると考えてよいでしょう。

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