2024年から新NISA(少額投資非課税制度)が開始することで、投資に対する注目度が上がることが予想される。その中で、人気の投資信託の信託報酬の引き下げが続々と発表されている。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第38回は、「投資信託の手数料」について。
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2024年からスタートする新NISAを呼び水に、これまで未開拓だった投資家を取り込もうと、各証券会社、運用会社が他社としのぎを削っています。中でもインデックス投信の低コスト争いは、激しい攻防を演じ、0.1%以下の手数料争いとなっています。
全世界株式型の投信は熾烈な低コスト戦争へ
新NISAで多くの人が利用すると考えられる積立投資では、なんといってもコストが重視されます。同じ中身の投信であれば、コストが安いほうを選ぶのは投資家の性。そのため、投信の低コスト戦争はますます激化し、次々と信託報酬の引き下げが発表されています。
まずは、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード 全世界株式」が、4月7日に信託報酬を0.1133%に、そしてわれらが「オルカン」こと、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim全世界株式」も5月11日から0.11325%に引き下げることを発表し、対抗しています。
低コストの王者オルカンにライバル登場!
そんな中、新たに登場したのが、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」。こちらは、日興アセットメントが4月26日からスタートする投信で、信託報酬は、なんと0.05775%! オルカンは0.11325%ですから、約半分という驚きの設定です。
連動対象は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)ですから、こちらもオルカンとほぼ同じ。現在、オルカンは純資産額9920億円(4月13日現在)で、同タイプの投資信託ではダントツの規模を誇っています。eMAXIS Slimシリーズは“業界最低水準の運用コストを目指す”と謳っており、それが人気の要因ですから、信託報酬が半分のライバル登場に関係者は騒然となっているかもしれません。