見えない“隠れ”コストまで目を凝らそう
ところが王者オルカンは、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」に追随するかたちで、さらなる信託報酬の引き下げをするつもりはないようです。業界最低水準の運用コストを目指すという看板をついに降ろしてしまうのか?と思いきや、そうではありません。
「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」は、「指数の商標使用料」が信託報酬に含まれておらず、それが年率0.1%を上限に「その他手数料」として投資家から徴収できることになっています。指数の商標使用料というのは、連動する指数であるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの使用料で、どれくらい支払われているかは非公開となっています。オルカンは、商標使用料込みで信託報酬率を設定しているため、単純に「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の信託報酬と比べられては困るという主張です。
実際、投資家が、見た目の信託報酬の安さでニューカマーの「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」を選択するのか、それとも隠れコストまで加味して王者「オルカン」を選ぶのか、今後の資金流入額の推移が気になります。
信託報酬以外のマニアックな争いに
インデックス投信の信託報酬争いは、下げるところまで行き着いた感があり、今後は「その他費用」とされる売買委託手数料、有価証券取引税、保管費用、監査費用などのマニアックな費用にまで投資家は目を配る必要があるかもしれません。運用報告書には、それらの総経費率が掲載されています。しっかりそこまでチェックして0.01%のコスト差も見逃さないという気概が投資家に求められそうです。