インターネット上に一度画像や動画がアップされると、「デジタルタトゥー」として長い間ネットに情報が残り続け、完全に削除することは難しい。またLINEなどのやりとりがスクリーンショットを撮られて流出したりするケースもあるなど、SNSの利用は、たとえ注意していても多くのリスクを伴う。
そうしたなかで、Z世代が利用しているアプリのトレンドを見ると、「履歴が残らないSNS」が人気を博しつつあるようだ。それを象徴するのが、写真共有アプリ「Snapchat(スナップチャット)」、通称「スナチャ」の流行だ。IT系企業に勤務するAさん(30代)が解説する。
「欧米のZ世代のあいだで“必須アプリ”となっているSnapchatは、2010年代にすでに日本にも入ってきていましたが、大流行するには至らなかった。Instagramのほうが爆発的に広がり、そのあとはTikTokがトレンドとなりました。しかし、ここ最近、日本の若者のあいだで『スナチャ』として浸透しはじめるようになり、ようやく大きな流行の波が訪れようとしています」(Aさん)
なぜ今、日本のZ世代にSnapchatが受け入れられているのか。Aさんは、「2010年代末までの“SNS疲れ”の反動もあるのではないか」と分析する。
「スナチャの特徴は、『いいね』や『コメント』機能など、これまでのSNSが重視してきた機能を排除している点です。ネット上での自分の人格を作り上げたり、“実際よりもよく見せよう”と背伸びしたりすることは、ユーザーにとってストレスの原因にもなっていた。本当に親しい相手とだけ素の自分をシェアできる、というのが、スナチャ人気の理由のひとつでしょう。
そして最大の特徴は、アプリのロゴマーク『ゴースト(幽霊)』に象徴されているように、一定期間でデータが“消える”こと。閲覧したあとに一定時間が経つと、投稿したメッセージや写真が消えるのです」(Aさん)