米4月ISMサービス業景気指数は52.0と3月(51.2)から小幅な改善が予想されている。米電子決済サービス大手のビザやマスターカードの1-3月期決算は良好で、個人消費の堅調さが確認されている。ただ、旅行・娯楽など一部の分野に支出が偏っている可能性があるほか、消費が堅調なのは高所得者層に限られているとみられる。ISMサービス業景気指数が下振れて50を割り込んだ場合には景気後退リスクが意識される展開には注意したい。
また、反対に上振れた場合には景気後退懸念は緩和されるだろうが、FOMCの結果次第ではインフレ長期化・利上げ継続が意識される可能性がある。週末の米雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが前月から鈍化、平均時給の伸びは前年比および前月比で共に横ばいが予想されているが、こちらも上振れは景気後退懸念を緩和する一方で利上げ継続として嫌気されるリスクがあろう。
ほか、欧州中央銀行(ECB)が4日に定例理事会を開催する。欧州は米国ほど物価指標が明確に鈍化しておらず、複数の高官からは0.5ポイントの大幅利上げ継続を主張する声も多く聞かれる。グローバルな金利高止まりが意識される場合には世界の株式市場全体の重しになりそうだ。
来週は国内の企業決算が佳境を迎える。一週間で合計2000社超の決算が予定されており、個別株物色が中心となる中、株価指数はもみ合いが継続するだろう。また、米国では消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)が発表される。前週に開催されるFOMCが利上げ継続に含みを残す結果となっていた場合には両物価指標に対する注目度は高いと思われ、これら指標結果を受けた米国市場の動向に左右されやすい展開となりそうだ。
その米国では、大型IT銘柄など一部の銘柄が指数をけん引していて実体は指数程には堅調ではないと考えられる。日銀金融政策決定会合を受けて年初来高値を更新した日経平均だが、米国株の動向次第での反落リスクには注意したい。
個別では、原材料高の一服と昨年からの値上げで利益率の改善期待が高い食料品セクターのほか、自動車関連にも注目。新型コロナショック以降、長らく半導体をはじめとした部材不足などに悩まされてきたが、半導体不足が緩和するなか好決算を発表する銘柄が多く見られている。
また、PBR(株価純資産倍率)で1倍割れ企業が多いことも特徴で、自社株買いなどを合わせて発表する企業も散見される。米国の景気後退や為替の円高反転のリスクは伴うが、円安基調は根強く定着してきており、景気敏感株の中では妙味が高いと考える。
今週・来週は5月1日に4月新車販売台数、イビデン決算、米4月ISM製造業景気指数、2日に三井物産の決算、米FOMC(-3日)、3日に米パウエルFRB議長会見、米4月ISM非製造業景気指数、4日に中国財新4月製造業PMI、ECB定例理事会、米アップル決算、5日に米4月雇用統計、9日に3月家計調査、10日に米4月CPI、11日に3月貿易収支、米4月PPI、が予定されている。