吉田みく「誰にだって言い分があります」

郊外のマイホーム購入を「都落ち」と言われ… 落ち込む夫婦を救った子供たちの言葉

外出自粛も求められたコロナ禍で「住まい」に対する考えが変わった人もいる(イメージ)

外出自粛も求められたコロナ禍で「住まい」に対する考えが変わった人もいる(イメージ)

 コロナ禍で2021年に初めて「転出超過」となった東京23区だが、総務省が1月末に発表した2022年の人口移動報告によると、昨年は転入者が転出者を2万人強上回り、再び「転入超過」となった。東京都全体でも3万8023人の転入超過となり、一昨年に記録した過去最少(5433人)の転入超過から約7倍も伸びた。

 一方、埼玉、神奈川、千葉の3県に対してだけは、昨年も東京都は転出超過と報じられている。都内に住む人がマイホームの購入などを機にそれらのエリアに移るケースが考えられるが、移住に際しては葛藤が生じることもあるようだ。昨年、家族で埼玉県の郊外に移り住んだという30代女性に、ライターの吉田みく氏が話を聞いた。

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 物価高騰が続く一方、賃金が上がらないなどの金銭的な理由から「都内に住みたくても住めない」という声をよく聞く。都内在住の場合でも、家賃などの住居費を抑えたいと考える人が「東京脱出」を計画するケースも多い。その場合、都内にもアクセスがしやすい埼玉、千葉、神奈川などの隣県を引っ越し先に選ぶ人が増えているようだ。

 東京都下で生まれ育った会社員のサクラさん(仮名、35歳)は、夫と就学前の子供2人の4人家族。昨年、マイホーム購入をきっかけに東京脱出を果たした。しかし、自ら望んで埼玉県の郊外へ引っ越したものの、「ときどき後悔することがある」という。

「『ステイホーム』と言われたコロナ禍をきっかけに、一戸建てのマイホーム購入を考えるようになりました。当初は都内で買いたいと思いましたが、希望する広さの土地は高くて手が出ませんでした。『予算は総額4000万円まで』と決めたら、埼玉の郊外まで行かなくては厳しいことを知り、都内を出ることを決心。ただ、今まで東京以外に住んだことがなかったので、本音としては埼玉に行くことには抵抗がありました」(サクラさん、以下同)

 都内に勤務する夫も、サクラさんと同じく「東京生まれの東京育ち」。そのため、夫婦二人とも埼玉での生活のイメージが湧かず、決断までには時間を要した。夫婦で話し合いを何回も重ね、休日には街の様子を見学に出かけるなどした結果、埼玉へ移住することを決心したのだった。

「土地代を抑えられた分、理想のマイホーム作りにお金を割くことができました。通勤時間はこれまで20分だったのが1時間半に増えて大変ですが、だいぶ慣れてきました。新規の分譲エリアで同世代の家族が多いせいかご近所付き合いにも恵まれ、毎日が充実しています」

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