4月27日に開かれた総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ(WG)」の第7回会合の議論が注目を集めている。同WGではネット時代のNHKの業務のあり方について、議論が重ねられている。現在は任意業務であるNHKのネット業務が必須業務となった場合の受信料制度について議論が行なわれ、〈複数の委員から、テレビを持たない人々が、NHKの番組をネットで視聴しようとする場合は、費用負担を求めるべきだとの声が相次いだ〉(4月27日付、朝日新聞デジタル)などと報じられている。
ネット上では、「スマホを所持しているだけで受信料負担を求められるのでは」といった声もみられたが、同WGのこれまでの議論はそうしたかたちには否定的だ。4月27日の会合での配付資料を見ても、〈これまでの構成員等の主な意見〉と題されたページに、〈インターネットに接続する機器を保有しているだけで受信料を払うというような制度をいきなり考えるというのは難しいのではないか〉〈スマートフォンやPCなどは必ずしもネット配信を見るためだけのものでないことが明らかなので、保持者をもって視聴者と捉えてよいかについても難しい問題がある〉といった意見が明記されている。
「現行制度では、NHKを受信できるテレビ(受信機)があれば受信料を支払う必要がありますが、PCやスマホを同じように扱うのは当然ながら難しいという議論の流れです。ただ、スマホ利用者が自らアプリを入れたうえで、約款に同意するなどの行動を積極的にとった場合は、受信料の負担を求めていいのでは、といった意見は出ています」(総務省関係者)
テレビの時代からネットの時代へと変わっていくなかで、NHKの主たる財源である受信料の負担のあり方がどう変わるのか、引き続き議論されていくことになる。
一時は支払率が70%を割っていた
NHKが公表している2021年度末の「受信料・受信契約数に関するデータ」によると、受信契約対象世帯数4666万件に対して、受信契約を結んで受信料を支払っている世帯支払数は3682万件で、推計世帯支払率は78.9%となっている。
NHK受信料の支払率は、その時々によって増減がある。2000年代にはNHKの不祥事が相次いだことなどから急落している。2020年5月に開かれた総務省の「公共放送の在り方に関する検討分科会」の第2回会合にNHKが提出した資料によれば、2003年度の支払率77%から急落し、2005年度と2006年度は69%となっていた。