大きな会場でのコンサートが開催しにくい事情
前出・大塚氏は、コンサートに行きたいファンにチケットがしっかりと行き届かない背景には、コロナの影響もあるのではないか、と分析する。
「基本的に会場を大きくすれば、それだけたくさんのファンが入れるので、当然ながらチケット抽選の落選が減り、転売チケットに手を出す人も減ります。しかし、今でも出演者にコロナ感染者が出るとコンサート自体が中止になってしまう可能性があり、より大きな会場を抑えているとその分、損害も大きくなってしまう。そういったリスクを避けるために、大きな会場でのコンサートが開催しにくい事情もあると思います。
特に音楽業界は、感染拡大初期において、“感染の温床になるのではないか”とバッシングを受けていたこともあり、より慎重になっている部分もあるのでは」(大塚氏)
また、コロナ禍における“客層の変化”も指摘する。
「コロナ禍では、“着席”や“声出し禁止”などのスタイルで鑑賞することがルールとなったコンサートも多く、そこで初心者がコンサートに足を運びやすくなったと言われています。その結果、コロナ禍で新たな客層を掴んだアーティストも少なくない。コロナ禍でコンサートに行きたいファンが一瞬減ったかと思いきや、新たな客層が増えたことで、今となってはチケットの倍率が高くなっているというパターンもあるでしょう」(大塚氏)
チケット不正転売禁止法によって、不正転売が摘発されるケースが増えているものの、コロナ禍の影響もあり、多くのファンがコンサートに行けるという状況にまでは至っていない模様。不正転売を防ぐ施策は、今後も継続して強化していく必要がありそうだ。(了)