値上げラッシュが続く昨今。ライブやコンサートチケットも値上げが発表されているが、はたしてファンたちは、いくらまでなら許容できるのだろうか──。
たとえばジャニーズ事務所は9月13日、公式サイトでコンサートのチケット料金を値上げすると発表している。昨今の物価高を受けて、〈コンサート制作費への影響が顕著になり始めたことから、チケット価格を改定させていただくという結論に至りました〉と説明している。
現在ジャニーズ事務所に所属するグループやアーティストのコンサートチケットは、主に7000円台から9000円台の価格帯。グループ人気やステージの豪華さを考えると、「それでも安い」という意見も多い。エンタメ事情に詳しいライターの大塚ナギサ氏はこう話す。
「現在、国内アーティストのコンサートチケットの相場は、8000円台から1万円くらいです。キャパシティーが1000人から2000人くらいの規模のライブでも、ドームクラスのライブでも、価格はあまり変わりません。ジャニーズのグループのコンサートは、相場と同じくらいか、少し安いくらいですね。若いファン層が多いということも意識されているのでしょう。にもかかわらず、セットが豪華で、ファンを楽しませるための仕掛けも多く、満足度はとても高いと言われています」
値上げ後の価格は不明だが、ファンとしては一体どのくらいの価格までなら許容できるのだろうか。ジャニーズのあるグループを10年以上応援している西崎さん(仮名、30代女性/IT会社勤務)は、「もっと払ってもいい」と話す。
「あれだけの幸せな時間を提供してくれるのだから、1万円を超えたとしてもおかしくないと思います。席によっては、2万円くらいになっても“あり”じゃないでしょうか」(西崎さん)
かつてはチケット売買サイトを利用していたが…
ファンの中には「高い金額を出してでもコンサートに行きたい」という人は少なくない。そんなファン心理に付け込んだのが、チケットを高額で転売する“転売ヤー”だ。転売ヤーたちがチケットを大量に買い込み、それを高値で転売するようになると、定価でチケットを買えない人たちが続出する事態に陥る。また、偽造チケットが横行するなど、犯罪の温床にもなっていた。そうした問題がクローズアップされるようになったことで、国も法整備に動いた。
2019年6月にチケット不正転売禁止法が施行され、チケットの不正転売や転売目的のチケット購入が法律で禁止された。この法律は“業として”不正転売をすることを禁止するもので、チケット転売の業者だけでなく、個人でも反復継続的に転売を行うと違法と判断されることもある。
「恥ずかしい話、法律が施行される前は、チケット売買サイトでよく定価より高いチケットを購入していました」と明かしてくれたのは、槇原さん(仮名、40代男性/自営業)。とある女性アイドルグループのコンサートに通い詰めている。
「以前は、ネット上のチケット売買サイトでよく買っていました。通常のチケットが8000円くらいでも、メンバーの卒業公演なんかになると、5万円、6万円は当たり前。12万から13万円くらいの値がついていることもありました。さすがに10万円以上は出しませんが、5万円までなら買ったこともあります。
でも、チケット不正転売禁止法ができてからは、そういった売買サイトは利用しなくなりました。まだネット上では“個人売買”のものがありますが、それも利用しません。やはり“転売はよくないな”という考え方に変わったんです。でも、もし5万円くらい出して、オフィシャルでチケットが買えるのであれば、喜んで払います。転売で儲けさせるのはイヤですが、オフィシャルなら払いたい」(槇原さん)