そんなケイコさんはいま、「親が早くに亡くなった」ことへの認識が変わりつつある。
「私にとって、親も義両親も早くに他界したことの寂しさが消えることはありません。孫を見ていると、『自分たちの子供には、おじいちゃんおばあちゃんの顔を見せてあげられなかったな』とよく思うんです。
でも、今はまだ自分も健康で、自由を謳歌しています。よく『親を早くに亡くして……』とかわいそうな目で見られてきたし、実際、親がもっと長生きしてくれていたら……と思ったことは何度もあります。でも、私の周囲にはいま、それこそ“老老介護”で大変な人がいっぱいいます。親の介護の押し付け合いできょうだいと縁を切った人もいますし、介護生活から自分の精神を病んでしまった人もいます。そういった様子をみていると、あれはあれでよかったのかなとも思ってしまうんです」
人生100年時代、介護は誰にとっても決して無縁ではない。ケイコさんの経験は、現役世代にとって、親の介護はもちろん、自身が介護される場合のあり方も考えさせられるものではないだろうか。(了)