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政府が検討中の「デジタル遺言」制度への期待 「様式の不備」による無効を防止、法的効力のある遺言書作成が簡単に

 一方で、遺言書がトラブルの種になることもある。弁護士の寺林智栄氏(NTS総合弁護士法人札幌事務所)が言う。

「とりわけ多いのが、自筆証書遺言をめぐるものです。全文を自筆で記す必要があり、『遺言書』と表題を付け、『相続内容』(どの遺産を誰にどれだけ相続させるか)、『日付』『署名』『押印』が必須ですが、不備があると、無効になる場合があります。

 また、筆跡が本人のものかどうかを遺族が争うケースも多いです。自宅で保管していると、紛失したり複数の遺言書が見つかったりして問題となることもあります」

 弁護士の眞鍋淳也氏(南青山M’s法律会計事務所代表)が扱った案件では、こんなトラブルもあったという。

「ある女性が自分で作成した遺言書で、自宅を2人の娘のうち下の子に相続させようとしたところ、『建物』分しか記載がなかったために『土地』が姉妹の共有財産となり、2人の間で大きな揉め事となりました。正しく遺言書を残さないと、かえって家族の間に禍根を残すことになりかねません」

 遺言のデジタル化が進めば様々なトラブルを回避できるようになるのか、今後の議論に注目が集まる。

※週刊ポスト2023年5月26日号

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