だが、この間、高齢者の医療費負担はどんどん引き上げられてきた。
昨年10月からは一定以上の所得がある75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担が2割に引き上げられ、今国会で成立した健康保険法改正では、少子化対策として「出産育児一時金」を増額するために、その財源として年金収入153万円を超える高齢者の医療保険料が来年度から段階的に引き上げられることが決まったばかりだ。
そのうえ、次は低所得の高齢者も対象に医療費と介護サービスの窓口負担を1割から「2割」に上げるというのである。支払わなければならない金額は2倍になる。
これでは「社会全体で広く負担」ではなく、明らかな高齢者狙い撃ちだ。
(後編に続く)
※週刊ポスト2023年6月2日号