日本株の復活が目覚ましい。5月22日の日経平均株価終値は、8営業日続伸し3万1086円82銭で引けた。これは1990年8月以来、約33年ぶりの高値である。翌23日は、3万0957円77銭と反落したが、バブル後の最高値圏で推移している。いったい何が起こっているのだろうか。
米国市場との値動きの違いをはっきりさせるため、日経平均株価をNYダウで割った相対株価(ただし、NYダウは前日の値)を計算し、それを昨年末=100として指数化したデータを確認してみた。すると、年初から春先にかけては上げ下げを繰り返しており、4月6日の段階では104に留まっていた。しかし、この日をボトムに相対株価は強い上昇トレンドを形成、5月22日には118まで上げている。
4月9日に植田和男氏が日本銀行の新総裁に就任、早々に従来の金融政策を維持すると明言。金利上昇懸念が払拭され、その後対ドル為替レートは株式市場に有利とされる円安方向に振れている。
また、4月11日には著名投資家ウォーレン・バフェット氏が来日、日本経済新聞社による単独インタビューに応じ、「日本株の追加投資を検討したい」と日本株に対する強気な見方を披露した。ちなみに、2020年8月にバフェット氏は日本の大手商社5社の株式を取得、その後これらの銘柄は高い株価パフォーマンスを示している。
外国人投資家は日本市場で支配的な売買シェアを占めるが、彼らはこのバフェット氏の日本訪問をきっかけに日本株への関心を高めている。“脱コロナ”政策により景気回復見通しが強いこと、業績が安定しているにもかかわらずPBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込むようないわゆる割安銘柄が多いことなど、日本株の魅力に気づきつつあることも相対株価上昇の重要な要因と考えられる。
香港ハンセン指数は過去最高値より4割安い水準
一方、中国株は対照的な値動きとなっている。香港ハンセン指数について、日経平均株価と同様に対NYダウの相対株価を計算すると、年初に大きく上昇していることがわかる。春節休場明け直後の1月26日に112まで上昇している。ゼロコロナ政策の解除による景気の急回復期待で大きく買われたのだが、その後、その期待は修正され、バイデン政権による半導体の対中輸出規制政策の影響もあり、下落トレンドとなっている。
ただ、5月22日現在、相対株価は99であり、NYダウと比べわずかなアンダーパフォームに留まっている。香港市場から大量の資金が流出し、それが東京市場に流入していると言えるほど、香港ハンセン指数は下がっているわけではない。
しかし、長期的な株価の動きをみると、そうした資金移動の影響も垣間見える。香港ハンセン指数の過去最高値(終値ベース)は2018年1月26日に記録した33154ポイントであるが、2023年5月22日の終値は高値から4割安い19678ポイントに留まっている。約33年ぶりの高値を記録している日経平均株価との差は大きい。