米国の対中政策が日本株、中国株の先行きを左右
トランプ政権時代の2018年4月、米通商代表部は通商法301条に基づいて中国からの輸入品に追加関税を付加することを決め、品目リストを公表、この時点を起点として米国の対中強硬策が始まった。中国経済のファンダメンタルズが際立って悪化したわけではない以上、対中強硬策により香港市場から欧米の資金が流出しているといえそうだ。
今後の見通しについて、もしこのまま、米国が対中強硬策を打ち出し続けることができるとすれば、また、グローバルサプライチェーンから中国を外し、その一部を日本に持ってくるようなことが可能であれば、日本経済は長期的に持ち直すチャンスがある。日本株投資が今後も報われる可能性はあるだろう。
もっとも、米国内ではビジネス界を中心にバイデン政権による対中強硬策への不満も聞かれる。また、バイデン大統領は21日、G7広島サミット開幕後の記者会見において、「G7は中国とのデカップリングを目指しているわけではなく、対中関係におけるリスク低減や多様化を望んでいる」と述べている。もし、中国とのデカップリングの動きが逆回転するようであれば、相対的に割安となっている香港株にチャンスが巡ってきそうだ。
いずれにしても、米国の対中政策が今後の日本株、中国株(香港株)の先行きに大きな影響を与えることになるだろう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。楽天証券で「招財進宝!巨大市場をつかめ!今月の中国株5選」を連載するほか、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。