住まい・不動産

「自治会に入らないとゴミを出してはいけない」引っ越し先の慣習に従うべきか 弁護士が解説

引っ越し先の慣習に納得がいかない場合はどうする?(イラスト/大野文彰)

引っ越し先の慣習に納得がいかない場合はどうする?(イラスト/大野文彰)

 引っ越しをしたはいいものの、引っ越し先地域のマナーや慣習の違いに戸惑うケースは少なくない。たとえば、「自治会に加入しないとゴミを捨ててはいけない」と言われたら、どうすればいいのだろうか。弁護士の竹下正己氏が、実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 娘がひとり暮らしを始めましたが、その地域の自治会から「自治会に加入しないとゴミ出ししてはいけない」と言われ、困っています。高齢者が多い田舎ゆえ、そこに住む誰もが自治会に入ることが昔からの慣習になっているそうです。

「ゴミ置場の掃除を当番制で行っているから加入は必須」と言われているそうですが、住民税を支払っていてもゴミ収集をしてくれないのでしょうか。ゴミを出すには自治会に加入するしか方法はないのでしょうか。(長野県・58才主婦)

【回答】
 家庭の生活ゴミは一般廃棄物です。市町村は、廃棄物処理法第6条に基づき一般廃棄物処理計画を定め、当該区域内におけるゴミの収集や処理を行っています。また、住民も処理計画に基づいてゴミ出しをするなど、市町村の清掃事業に協力する義務があります。

 市町村によって違いますが、収集に際しては、「戸別収集方式」と「集積所(ゴミ置き場)収集方式」の2種類があります。

 戸別収集方式は各住民の自宅でゴミ収集をしてもらえますが、集積所収集方式の場合、指定の集積所以外では収集してくれません(ただし、集積所までゴミを持ち出すことが困難な高齢者などの世帯を対象に戸別収集をする自治体もあります)。

 ご質問の内容から察するに、娘さんの地域では「集積所収集方式」かと思われます。それでも、ゴミ集積所が公道上にあれば、自治体職員の収集作業時間に合わせてゴミ出しをすれば引き取ってくれるでしょう。しかし、集積所が私有地にあって自治会から立ち入りを禁止されると、ゴミ出しが一切できなくなってしまいます。そうなると、生活環境の悪化は避けられません。

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