そもそも、ゴミ集積所は廃棄物処理事業の一環として公共的な役割を持っていますから、合理的理由がないのに自治会が利用を拒否するのは権利の濫用になる可能性があります。
自治会は多くの場合、行政と住民とのパイプ役になってはいますが、あくまで任意の団体なので、住民に加入を強制することはそもそもできません。一方、ゴミ置場へのゴミ出しは市民の公の義務ですから、ゴミ収集を条件に自治会への加入を強いることは不適切です。
とはいえ、自治会が当番制で掃除している実情を考えると、同程度の協力をしない住民の利用を拒否するのはあながち不合理とも言えません。
そこで、自治会に加入しないまでも、掃除に参加することを明確にした上で利用を申し出ることをおすすめします。それでも利用を拒まれた場合、自治会への説得を役場に頼み、それが実現しなければ、役場に戸別収集を要請してはいかがでしょうか。
こうした手立てを講じてもなお利用を妨害される場合は、日常生活に著しい不便が生じ、人権侵害ともいえる不法行為になります。所在地の法務局や弁護士会に人権救済の申し立てをすることや裁判所に妨害行為の差し止めを求めることも考えられます。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2023年6月8日号