かつて、内閣府が平成8年から平成24年にかけて、国民生活選好度調査という形で国民の幸福度を調査していたことがあったが(現在は実施していない)、性別年代別はおろか、配偶関係別の調査結果報告もない全体結果報告のみで、細かい部分はわからずじまいであった。
民間の幸福度調査でも性別年代別の区分まではあっても、配偶関係での区分をした調査は、私の知るところでは皆無であった。しかし、前述の結果通り、未婚と既婚とでこれだけ大きな差があるということは無視してはならない話だと思う。
未婚男性の幸福度は「年収1000万円」で頭打ちに
なぜ、これほどまでに未婚者は不幸なのか?
40−50代の未婚男性の不幸度が高い要因として、彼らが就職氷河期世代に該当するという考えもある。就職できずに、非正規で働いて満足に収入を確保できない人もいたことだろう。正社員として就職したとしても、その仕事は自分の希望するものとは違う仕事で、毎日が苦痛である人もいるかもしれない。
特に、男性の生涯未婚率は自己の年収が低ければ低いほど高くなる。つまり、男性で中年で未婚であることは、すなわち年収が低い場合が多いと推測でき、そうして自身の低年収による経済的環境とその事情による未婚生活そのものが不幸の原因であると考えることもできる。
しかし、未婚男性の低い幸福度は年収だけのせいなのかというとそうでもない。
年収別に幸福度を20〜50代未既婚で比べると、未婚も既婚も年収が上がるごとに幸福度は増すが、同じ年収でも未婚と既婚とでは幸福度に大きな差がある。年収100〜900万円の間ではほぼ20ポイントの差が均等にある。むしろ、未婚男性は1000万円の年収で幸福度が頭打ちになり、それ以降は下がる傾向すら見られる。
勿論、生活をしていく上で食うにも困るような貧困では幸福も何もないだろう。しかし、だからといって、年収が上がれば上がるほど人は幸福になるかというとそうでもない。
そもそも、年収だけが幸福度の要因なら、未婚も既婚も同年収の幸福度は同じにならないといけない。これを見る限り、年収より未婚か既婚かの配偶関係の方が幸福度に強く影響を与えていると考えるのが妥当である。
では、既婚=結婚すれば幸福なのか? それもまた違う。