セレブが集う“お金持ちの住む街”は何が違うのか? 富裕層専門のファイナンシャルプランナー・江上治さんの顧客である超富裕層(純資産5億円以上)によれば、東京都内にはいくつもの“お金持ちの住む街”があるという。
江上さんがまず挙げたのは井の頭線沿線の浜田山。
「各駅停車しか止まらない駅ですが、美容室大手チェーンの『アースホールディングス』の國分利治社長は3年前に建設費用10億円の大豪邸を浜田山に構えました。フェラーリ4台を収容できる広さがあるといわれています。
渋谷区の松濤も資産家が多い街として有名です。松濤はどの駅からも離れた場所にありながら、美術館が近くにあったり、もともと徳川家の土地であるという歴史を持つなど、文化的な環境が整っている。そうした土地が持つバックボーンに魅力を感じて住むお金持ちも多いのです」(江上さん)
環境・歴史ともに東京随一を誇るのが、田園調布(大田区)だ。日本資本主義の父と称される渋沢栄一氏がパリなど欧米の都市を模してつくった街で、1923年に分譲が始まった。以来、石原慎太郎さん(享年89)や鳩山由紀夫元首相(76才)から長嶋茂雄さん(87才)、五木ひろし(75才)と錚々たる面々が居を構えている。
駅から左手に向かい、ヨーロッパの民家のような旧駅舎をくぐると、ロータリーから放射状に広がる5本の道路によって、きれいに区画された住宅地がある。そこにはコンビニどころか自動販売機もなく、広々とした各家の敷地は深い樹木に覆われている。
「ここはある意味、限界集落です。高齢化は進んでいるし、お店もほとんどないですし」
そう言って笑うのは、親の代から田園調布に暮らしているという80代の男性だ。
「田園調布に家を建てるには、敷地面積は最低でも50坪以上、家の高さは9m以下、外壁や屋根の色は環境に調和した落ち着いた色にするといった細かいルールがあります。おかげで自然が多く、高い建物がないから富士山もよく見える。
ただ、建てる前にそうしたルールがきちんと守られているか確認を取るために町内会に図面を提出しなければならないんです。ひと昔前ならばまだしも、プライバシーを大切にするいまの人には、抵抗があるんじゃないでしょうか(苦笑)」(80代男性)