生活様式が新しく変わりつつある昨今だが、日本を代表する高級住宅街には連綿と受け継がれる「お金持ちの街だけにある驚愕のルール」が存在する。誰もが知る東京の高級住宅地「田園調布」(大田区)と「成城」(世田谷区)のルールは特徴的だ。
放射状の道路沿いには青々と茂った銀杏並木が緑のトンネルを作り、猛暑日でも涼をもたらしてくれる。道ゆく人は身なりが上品な紳士淑女で、通る車はベンツにBMWと外国車ばかり。散歩中の犬たちもすべて血統書つきに見えてくるから不思議だ。
ここは東京都大田区・田園調布。長嶋茂雄読売巨人軍終身名誉監督や鳩山由紀夫元首相など、昔から資産家や文化人に愛されてきた、言わずと知れた高級住宅地だ。銀杏並木を歩いていた日傘のマダム(85才)に声をかけた。聞けば、ご主人は誰もが知る大手企業の社長を務めた御仁。ご自宅は駅から徒歩10分圏内で80坪7LDKという。
「ここに住んでもう60年近くになります。いまは子供たちも巣立ち、主人も亡くなり、ひとりで暮らしています。コロナ禍でジムや観劇に行けないのが残念ですが、お庭でのバーベキューを楽しんでいます。町内会での取り決めはいくつかあるけれど、厳格なルールは思いつきません」
加入率が激減し、解散する地域も増えている町内会だが、田園調布では依然として重要な役割を担っているようだ。住民の7割が加入しているという、町会『田園調布親和会』相談役の馬渕雅之さんに話を聞いた。
「田園調布の3丁目から5丁目あたりは『多摩川台地区地区計画』として平成13年に地区計画が決められています。閑静で落ち着いた低層住宅地の決まりがあって、家を新築する際には、事前に図面などの建築計画を見せてもらい、町会から要望を出すこともあります。町会の活動はさまざまで、普段から高齢者の見守り活動や落語会、防災訓練などを開いていたのですが、今回のコロナ禍では婦人部が手作りマスクを作ったり、消毒液を小分けにして配りました。町会に入っていてよかったと感謝されましたよ」