総務省が5月30日に開催した有識者会議「競争ルールの検証に関するWG(第45回)」で、スマホの割引上限の見直しに関する案がまとめられた。回線契約と端末のセット割の上限を2万2000円から4万4000円に引き上げる方針だ。同時に、割引に上限がない「端末割引」が禁止される方針も示され、この規制強化が実施されると、スマホ割引の“抜け道”が消滅する。
各キャリアが、いわゆる「1円スマホ」など、端末の過度な値引き合戦でユーザーを抱え込もうとした結果、本来なら下げられるはずの通信費にしわ寄せが生じる可能性がある。通信料金を割安に設定した格安スマホ会社との競争環境が阻害される可能性も指摘されており、そうした点が問題視されているわけだ。
今回の規制強化の方針によって、通信料金の自由な競争環境が生まれるのであれば、長い目で見ると消費者にとってメリットとなるだろう。だが、そんな先のことまで考えていられないスマホユーザーからは、直近のスマホ買い替え時のコストが上がることに、不満の声も聞こえてくる。
メーカー勤務の30代女性・Aさんは、「規制する意味がわからない」と首を傾げる。
「スマホは高性能になった分、10万円超えが当たり前という“高級品”になりました。私はできれば長く使いたいし、買い替えもあまりしたくないのが本音です。物価高だし光熱費も高いし、税金の負担も重い。そうしたなかで、なぜ国がスマホの特売をつぶすのか……。本当に残念です」(Aさん)
端末が高額化するなか、スマホの買い替えのハードルが上がっていることを実感する。
「1円スマホに限らず、そもそも回線契約なしで端末購入だけでも割引されるのはありがたかった。でもそれができなくなるのであれば、今後は中古のスマホか、回線契約すれば割引してくれる通信会社に乗り換えるような選択肢になりそうです」(Aさん)