家計

太陽光や人力発電システムで「電気代0円生活」を実現した女性 エアコンは何時間も使えないので猛暑対策が大切

フジイさんが活用しているソーラーパネルと発電した電気をためておくポータブル電源一式

フジイさんが活用しているソーラーパネルと発電した電気をためておくポータブル電源一式

 染織作家のフジイチカコさんは、2011年の東日本大震災で計画停電を経験してから節電に興味を持ち、以来独学で少しずつ使用電気量を減らしていったという。

「自宅のベランダが南向きだったため、最初はベランダに120Wの電力を発電できるミニサイズのソーラーパネルを設置して電力の自給生活をしてみました。すると、当時月4000円強だった電気代が800円に。これに味を占めて節電を続け、2012年9月には電力会社との契約を解除して生活するまでになりました」(フジイさん・以下同)

 いまではソーラーパネルだけで1日約1000W発電できるようになったという。これだけあれば、DCモーター(省エネタイプ)の扇風機を約100時間稼働させられる。雨天などで太陽光発電ができない場合はどうするのか。

「自家発電ができる自転車型の発電システムを譲ってもらったので、こちらも活用しています。1分間漕ぎ続けると約1W発電できるので、1時間あたり3W消費する照明なら、3分漕げば1時間は照明が使えます。とはいえ、最近は10分程度しか漕げませんが」

 料理は、ガスや七輪(炭)のほか、太陽熱を活用したソーラークッカーを使えば困らないという。その結果、ガスを使っても月の光熱費は平均3000円程度だという。

「大量の電気を使えないので冷蔵庫を処分したら、余計な食材を買わなくなり、食費が減りましたし、自転車型の自家発電に毎日乗っているためジムに行く必要がなくなって、電気代以外も節約できるようになりました」

 その分、8年間で100万ほど貯金ができたという。

生活には困らないが猛暑が問題

 電気代0円で生活はできる。しかし、自家発電では扇風機は使えても、エアコンを何時間も使い続ける電力(1時間の消費電力は約600W)はまかなえないため、猛暑の対策が必要だという。

「体感として、夏の最高気温は10年前より5℃くらい上がっていると思います」

 節電はつまり暑さ対策とイコールのようだ。

「ベランダに濡らしたタオルを絞らずに吊るして打ち水の代わりにしたり、熱伝導率の高いベランダのアルミサッシに水を差したりして、外からの熱気が部屋に伝わらないようにしています」

 小さな工夫の積み重ねだが、これが効果的だという。フジイさんのように電気代を0円にしないまでも、小型サイズのソーラーパネルを活用したり、暑さ対策をするなどして電気代は節約できる。真似できるところから取り入れてみたい。

【プロフィール】
フジイチカコ/染織作家。2011年の東日本大震災の計画停電を機に、電気代0円生活をスタート。2014年には第二種電気工事士の資格を取得。著書に『ソーラー女子は電気代0円で生活してます!』(KADOKAWA)がある。

取材・文/桜田容子 イラスト/飛鳥幸子

※女性セブン2023年6月29日号

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