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特待生制度とは全く別物 開成、麻布、雙葉…難関校ほど「在学生救済」のための奨学金制度が手厚い背景

私立中学に子どもを通わせる家庭は、経済力が高い層が多いというデータもあるが(写真:イメージマート)

私立中学に子どもを通わせる家庭は、経済力が高い層が多いというデータもあるが(写真:イメージマート)

 私立中学に通う家庭は裕福であるというイメージが一般的にあるようだ。実際、私立学校は学費が高額であることが多く、教育費の負担は少なくない。経済的な事情で学費が払えなくなった場合に助けになるのが奨学金だ。『中学受験 やってはいけない塾選び』などの著書があるノンフィクションライターの杉浦由美子氏によると、難関校ほど奨学金が充実している傾向にあるという。杉浦氏がレポートする「子どもを難関中学に通わせる家庭の収入事情」、第1回は中学受験と奨学金について解説する。【全3回の第1回。第2回を読む

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 タワマンに住んで、子どもをSAPIXに通わせ、御三家に入れる……。Twitterで人気の“タワマン文学”で描かれる憧れのライフスタイルだ。地方公立高校から東京の難関大学に入学し、就職してもその夢の生活は手に入らないという悲哀が描かれる。

 実際、私立中学に子どもを通わせる層の経済力が、いかに高いかが分かるデータがある。 文部科学省による『令和3年度子供の学習費調査』によると、私立中学に通う生徒の家庭の世帯年収で最も多いのが1200万円以上の家庭で40.1%、次が1000万円から1199万円で17.7%、その次が800万円から999万円と年収は下がっていき、400万円以下は3.8%となる。一方で、公立中学の場合、世帯収入が1200万円以上は10.3%、1000万円から1199万円は11.3%、最も多いのは600万円から799万円で26.6%、400万円以下は10.2%となっている。

 つまり、私立中学の生徒の家庭の4割が世帯年収1200万円以上の家庭で、その割合は公立中学の生徒の家庭の4倍にもなる。その中でも、「御三家」など難関校の生徒の家庭は経済力が高いと推測できる。受験対策も相当しっかり行う必要があるから、塾の費用や手間、時間もかかる。「中学受験は親の受験」ともいわれるから、いかに親が頑張れるかで差が出る。

 現在、中学受験は共働き家庭が主流になっているが、御三家の生徒の半分は専業主婦家庭だという。実際、中学受験の対策塾を取材すると、御三家志望校対策の上位クラスの半分が専業主婦家庭の子どもだという。夫婦で1200万円を稼ぐのではなく、夫1人でその額を稼げるのだ。経済力がある男性と結婚した女性が、子どもの受験に専念するという「まるで昭和のようなカルチャー」がまだ存在するのだ。

「今も昔も勝ち組のライフスタイルは変わらないのか」というふうに、庶民はため息をつきそうだ。しかし、かつての学歴エリートと、現在のそれではやや事情が違ってくる。それは経済力の「安定感」だ。それを象徴するのが、多くの中高一貫校で行われている在学生への奨学金制度だ。

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