中国の若年層の失業率の高さが注目を集めているが、そもそも失業率全体を見ると、他国と比べて特に高いというわけではない。たとえば、2022年の統計(IMF統計)で比較すると、中国の失業率(4.20%)は日本(2.56%)、米国(3.64%)よりは高いが、イタリア(8.09%)、フランス(7.29%)、カナダ(5.28%)などの先進国よりは低い。
直近のデータでは、5月の全国都市調査失業率は5.2%で前月と同じであった(前述の国際的基準による失業率とこの統計とでは、統計の方法、就業・失業の定義、範囲が異なる)。今年2月には5.6%を記録しているが、3月以降低下に転じており、もう少し長い期間をみると、2022年4月には6.1%まで上昇していた。
再び5月の統計に話を戻すと、16~24歳の労働力調査失業率は20.8%であるのに対して、25~59歳は4.1%とその差は大きい。若年層の失業率の高さが国際的に大きな注目を集めている。
この点に関して中国国家統計局は記者会見を通じて次のように説明している。16~24歳の人口はおおよそ9600万人余りだが、仕事を探しているのは3300万人強であり、この内、2600万人強が既に仕事についており、失業者は600万人強である。絶対数が多いわけではないので、今後景気が回復すれば十分吸収できる。加えて、就業人口の範囲に関する定義が国際的な定義と比べて狭いという点も指摘しており、国際間の比較を行う場合にはその点を考慮して評価してほしいといった趣旨の発言をしている。
少し補足しておくと、在学中であったり、いわゆる浪人中であったりする者の中にも職を探している者が相当数含まれる。また、興味のある高収入の仕事が見つからないから仕事につかないだけといった若者も少なくない。サービス業や小売業などあまり人気の無い職業であれば、氾濫する就職情報サイト(無数に存在する微信(WeChat)上の就職情報を持ち寄る朋友圏など)でいつでも探すことができる。失業といってもその言葉が示す意味合いは我々の感覚とはだいぶ違うようだ。