もう一つは、「月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業」で、地上58階で総戸数1285戸、月島地区最高層となるタワマンである。いずれも2026年に竣工予定で、周辺の商業施設、公共施設も建て替えられる予定だ。
月島エリアの活性化と資産価値の向上にもつながり歓迎する声があがる一方で、近隣住民の反対運動が起こっている。
反対運動の主な理由としては、「月島にもう超高層はいらない」「日影が長時間広がる」「人口急増による地域への影響」などである。
実際、月島には既に10棟以上のタワマンが存在している。主なものは以下の通りだ。
・センチュリーパークタワー……54階建て
・キャピタルゲートプレイスザ・タワー……53階建て
・スカイライトタワー……40階建て
・ムーンアイランドタワー……38階建て
・ライオンズタワー月島……32階建て
・ザ・クレストタワー……32階建て
・アイ・マークタワー……32階建て
・ミッドタワーグランド……32階建て
・シティフロントタワー……31階建て
・ファミール月島グランスイートタワー……29階建て
賃貸タワマンや老人ホームタワーなどをいれると棟数はより多くなる。
怒涛の勢いでタワマン建設ラッシュが続く勝どき・月島エリアだが、紹介した9棟が供給されれば、単純計算で8700戸以上の住まいが新たに増えることになる。国勢調査によると、一世帯あたりの平均居住人数は2.21人とされ、勝どき・月島エリアのたった1.5キロメートル四方に1万9000人以上の人口が増える可能性があるのだ。
反対運動も起こっているように、さらに人口が増えれば、駅のキャパシティや保育園の空きなど、周辺施設の問題も大きくなっていく。特に勝どき駅は混雑緩和と利便性のため、2019年に新設ホームを供給したばかりだが、再び混雑に拍車がかかると懸念されている。
反対運動が起こっているマンションでは、可能性は低いものの、建物の大きさが予定より小さくなったり、着工が何か月か伸びるという見直しが出てくる可能性もある。ひどい場合は全戸完売にもかかわらず、引き渡し直前に建築確認を取り消された「ル・サンク小石川後楽園」や、同じく建築確認を取り消された横浜市の「地下室マンション」のような事態に陥る可能性だって、ゼロとは言い切れない。