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「公園に置き忘れたキックボード」を自転車置き場で発見、勝手に取り返したら罪になる? 弁護士が解説

後でキックボードは見つかったけど…(イラスト/大野文彰)

後でキックボードは見つかったけど…(イラスト/大野文彰)

 置き忘れたキックボードを別の場所で発見。それを勝手に取り返すことは、法的に問題ないのだろうか? 実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 先日、孫が公園に遊びに行ったときにキックボードを忘れてきました。翌日、公園に行きましたがすでになくなっており、数日後に近所のマンションの自転車置き場に置いてあるのをたまたま発見。孫がそれを勝手に持って帰ってきました。

 もともとは自分の物だったとはいえ、勝手に持って帰ってきたら罪になりますか。教えてください。(東京都・59才・主婦)

【回答】
 他人の所持している物をその人の意思によらないで取得することを「窃取」といいます。キックボードは駐輪場に置いた人物Aが「自分が管理している」との認識で置いたと考えられ、Aの占有下、すなわち所持状態にあると評価されます。

 そのため、お孫さんは「窃取」したことになります。

 刑法第235条は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪」として処罰されると規定しているので、他人の物を盗むことで成立するのが普通です。

 しかし第242条が「自己の財物であっても、他人が占有し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、この章の罪については、他人の財物とみなす」と定めています。

 この解釈については意見の分かれるところですが、最高裁は「人の財物に対する事実上の所持を保護しようとするものであって、その所持者が法律上正当にこれを所持する権限を有するかどうかを問わず、物の所持という事実上の状態それ自体が独立の法益として保護され、みだりに不正の手段によって侵害することを許さない」という趣旨だと解説しています。

 つまり、自分の物でも他人が事実上所持していればその所持が保護されます。平穏な占有であることが前提ですが、取り戻すには平穏な法的手段で回復すべきという考え方です。盗品の奪い返しは、窃盗直後など緊急性があれば正当防衛になりますが、例えば、被害者が相手の家に立ち入って取り戻せば窃盗です。

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