一方、学説では被害者による盗品の取り戻しは、住居侵入の罪は別として、窃盗にならないという考えもあります。
お孫さんの場合は、忘れ物ですからAは窃盗犯ではありません。遺失物横領になりそうですが、別人からもらった可能性や、またキックボードが傷んでいれば廃棄物と誤解したとの弁解もありえますし、駐輪場に置いていたAの所持は保護されるべき平穏な占有といえるので、勝手に取り戻したのは窃盗です。
近所ですからAとトラブルになる可能性があります。他人の忘れ物を自分の物にしたAが被害届等を出すとは思えませんが、万一、届けを出せばお孫さんが刑事責任を問われない14才未満であっても警察から指導等を受けることも考えられます。
そこで自分の物だという証拠(領収書や撮影日のわかるキックボードに載っている写真など)を用意し、忘れ物を捜した経過、発見して持ち出した経緯等をメモにまとめ、いつでも説明できるように準備しておくことをおすすめします。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2023年7月20日号