週末には米国でJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループなど銀行の決算発表が始まる。預金や貸出、貸倒引当金の動向から経営陣の先行きの景気見通しなどが注目され、結果を見極めたいとの思惑から、週末まで株価指数の方向感は出にくいかもしれない。
国内では週明けに発表される景気ウォッチャー調査に注目したい。国内景況感の改善が続いてきたが、前月分から現状判断DIおよび先行き判断DIともに低下に転じており、今回も揃って前月から低下が予想されている。連続しての低下は景況感の改善基調の一服感をより強く示唆することになり、海外投資家が日本株を買う理由の一つとして挙げてきた相対的な景況感の強さが弱まることになろう。
また、米金利が上昇するなかでも為替が円高気味にあることも短期的には日本株の上値抑制要因となりそうだ。日本銀行の内田副総裁が「企業の賃金・価格設定行動に変化の兆しが出てきている」とし、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正について「バランスをとって判断していきたい」と言及したことなどから、今月27-28日に開催される日銀金融政策決定会合での政策修正が意識されていることが背景にあるようだ。金融政策決定会合で改めて政策の現状維持が決まれば円安進行は再開するだろうが、それまではしばらく為替が株価をサポートする展開は期待しにくいだろう。
小売企業に加えて、Sansan<4443>やSHIFT<3697>、ベイカレント・コンサルティング<6532>などグロース株の筆頭格とされる企業決算も多く予定されている。足元では、FRBの追加利上げ観測の高まりなどから、グロース株の株価チャートでトレンドが崩れているものが散見される。チャートから窺える投資家心理からみて決算のハードルは高そうで、今後の物色動向を占ううえでも株価反応に注目したい。また、中国貿易収支や工作機械受注が発表される予定で、弱い結果となった場合、関連株の下落につながる可能性があり注意したい。
今週は10日に6月景気ウォッチャー調査、中国6月消費者物価指数、11日に6月工作機械受注、12日に6月企業物価指数、5月機械受注、米6月CPI、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、13日に中国6月貿易収支、米6月PPI、14日に7月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出、米7月ミシガン大消費者調査、などが予定されている。