中長期的な視点に立てば、バイオベンチャー株も外せない。
「自己修復力を高める再生医薬品を開発するステムリムは大阪大学発のバイオ医薬ベンチャーで、大化けの可能性を秘める。臍帯血(へその緒や胎盤に含まれる血液)バンクのパイオニアであるステムセル研究所は、再生医療などの新たな治療法の開発を進め、2028年までに売上高3倍、営業利益6倍を目指していて、目標達成の可能性は高いと見ています」(戸松氏)
先進医療は世界市場で躍進する可能性もある。
“ニッチ市場の雄”を狙おう
マーケットバンク代表の岡山憲史氏は、収益が持続的・安定的に伸びる期待が大きい「業界」に注目する。ニッチな市場で圧倒的なシェアを誇る企業は見逃せないという。
「工業用ゴム製品大手のフコクは、自動車ワイパーブレードの国内市場でほぼ独占。業績は好調で、2024年3月期も大幅な増収増益を見込む」
そして、生活に欠かせない「インフラ」関連銘柄が手堅いという。
「三井系の空調設備工事会社である新日本空調は、日本のモノづくりを支える電子デバイスや精密機器などへの設備投資や、都心の再開発などを追い風に堅調な推移が予想されます。前澤工業は官公庁向けの上下水道用機械大手で手堅い成長が見込めます」
定期的な点検が必要なインフラ関連で独自の強みを持つ企業は、需要がなくならず、堅実な成長が見込めるため、“ほったらかし”には打ってつけだという。
戸松氏は、コロナ禍でもはやインフラと呼べるほど身近になったネット通販に強みを持つ「物流業界」にも注目する。
「AZ-COM丸和ホールディングスは、イトーヨーカドーなどの物流業務の受託を通して、国内で初めて企業の物流を丸ごと請け負う総合物流企業へと進化しました。アマゾンジャパンをはじめ大手小売りの顧客を多数抱えています」
時間外労働の規制強化による人手不足など物流業界の「2024年問題」が懸念されているだけに、そうした課題を解決でき得る企業の強みが高まっていくと見ているわけだ。