母が病気になり、状況が一変
ところが2019年の夏、そんな姉が変化する出来事が起きた。母がリウマチ性多発筋痛症で入退院を繰り返すようになったのだ。姉は近所の介護施設のパートを辞めて母の住む実家に戻り、実家付近の介護施設で新たに入浴介助のパートを見つけた。このとき、父は施設に入っていた。
この転居が、姉にとって心機一転になったのか、吉田さんへのお金の無心は激減。借りたとしても、借用書に返済期限を書き、返してくれるようになったという。
(姉が心を入れ替えてくれた……)
しかし、吉田さんが喜んだのも束の間。姉は仕事を、「疲れるから」と辞めてしまったのだ。
生命保険の加入と貸さない宣言
そんな姉の将来に再び不安を覚えた吉田さんは、さらなるアクションを起こした。
「姉は年金を滞納しているから、いざというとき障害年金を受給できないうえ、貯金もないから医療費も払えません。そこで今年の春、最低限の医療保障がついた生命保険に加入してもらいました。元手は、かつて姉が母に払ってきた家賃です。母はそれを貯めていたんです」
さらに、姉には二度とお金を貸さないと宣言。それが功を奏したのか、現在、吉田さんの姉は再び求職活動を始めたという。
「つい最近は、スーパーマーケットの総菜部門と高齢者施設のパートに応募したと言っていました。せっかくイラストの才能があるのに、なぜそっちで仕事をしないのかなと、相変わらず歯がゆさは消えませんが、自立に向けて行動してくれるようになったのはうれしいですね」